【のと遍路】能登半島一周歩いてみた

移住者が見た能登

「ひとり徒歩で旅したときほど、私がゆたかに考え、ゆたかに存在し、ゆたかに生き、あえていうならば、ゆたかに私自身であったことはない。」(ルソー)

能登で生まれ育った原体験がない移住者の私が、能登をガイドする。その機会が増えくると内なる自己矛盾が膨らんで無視できなくなっていきました。
もし能登の子供たちのように歩く速度で流れる風景に身を置いて、風や匂いや音や大気や自然や人を身近に感じられれば原体験の代わりになるかもしれない。
自分勝手にそう考えて、 移住してから四年目に歩いて能登を一周することにしました。
半島の海の道と山の道を結んで体に刻む歩き旅。神仏への信仰も色濃い能登が舞台となればいきおい風土への祈り旅となり、まるでお遍路さんのようです。だから【のと遍路】 プロジェクトです。

のと遍路という巡礼

全行程約450キロを健康に踏破するため二本のポールを使うノルディック・ウォーキングで挑戦しました。いわば直立四足歩行です。歩き始めた2012年6月25日から数えて19日目に能登半島一周を達成しました。

出発地は高州山と背中合わせで能登丘陵の最高所を形成する鉢伏山。そこから発する町野川に沿って里山と里海を結び 、曽々木で海に達して一周の起点とします。そこからは時計回りに進み、禄剛埼を最先端に、宝達山を最南最高地点に置いて、能登島を含む能登半島の海と山を巡り再び曽々木に至りました。

「のと遍路」は能登の風土を巡礼する旅でした。海(辺地)と山(修験)を合わせ、タブとブナの森を巡り、森羅万象に手を合わせ、今ココの偶然に任せて能登人と出会い、それに共感し応援し支えて下さったたくさんの方と共に歩んだ半島一周でした。

それは意外にも加賀藩士田辺政巳が能登を一周し「能登日記」を残して以来195年振りの快挙だったそうです。私も旅の記録をまとめ、「平成版・能登日記」を残してみようと思います。

【編集後記】メディアの取材を受けちょっとした時の人に。新聞の記事掲載・ニュース番組の特集・スタジオインタビュー等。
旅で出会った方には昔のこと聞いて回りました。埋もれた歴史と風土が立ち現れる感じですごく楽しかったから。
「もう忘れかけていたことをたくさん思い出した。話せて元気になった」とあべこべに感謝されたりして、地元の方にとっても能登を新鮮な目で見つめなおすきっかけになったようでした。
さて、「のと遍路」が原体験の代わりになりえたかどうかはやや疑問符が残りますが、ひとつ気づいたことがあります。それはミクロ・ジャーナリストとして自分なりの視点で能登のポテンシャルをあぶりだす、という役割です。

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