【たこすかし】だましてたこを獲る

能登観光ガイド

NOTO FIELD NOTE illustrated by a.yamazaki 無断転載を禁じます。
(以下、スケッチの書き起こしです)

単純明快な漁具。だからこそ海とタコの習性を熟知した者の漁法といえます。人がタコをだませれば見事今晩のおかずですが、海の忍者にだまされて見つけられなければボウズです。
秋の夕刻、浅瀬の岩場で、恨みっこなしのだましあい・・・。

能登の秋の風物詩

たこすかし漁(たこだましの意)
好物のカニのニセモノでおびき寄せて引っ掛ける漁法。
たこさすり(たこさそいの意)の他、たこさそり・たことりともいう。

タコは秋に海岸近くで産卵するが、夕方から早朝にかけて浅瀬の岩場にエサを求めて上がってくる。その習性を利用した釣りの一種。

雄大な海の夕景の中でタコを探し続ける無心のひと時は、やがて詩情ある一刻に。この海が汚れればタコはいなくなる。海に親しみ大切に思う心を養う伝統漁法。

たこすかしの道具

竹竿
2種の仕掛けを別々につけた竹竿二本のみ。あとは知恵と経験。
仕掛けはぐるぐる巻きにしっかり固定。タコはけっこう重くて力がある。

疑似餌
ソフトビニール製のカニのおもちゃ。ひもを結ぶ。動くように工夫。昔は紅白の帯布だった。

クマデ
どこでも引っ掛かる360°のカギ針。

たこすかしのやり方

道具を両手に持って二刀流の構え!
ドウナガ(胴付長靴)着用。腰の深さまで行ける。
ひざ下の浅いところでも獲れる。ゆっくりと。
赤崎海岸では体験プログラムもある。
遊びといえば仕事のような、仕事といえば遊びのような「海の遊び仕事」。

①石・岩の隙間や海藻の陰が狙い目。タコは変化自在なので素人目には全く分からない。くぼみに潜む習性があり、入り口で偽ガニを静かに動かすのがコツ。生きているように見せるには日頃の観察力が試される。

②タコがいればスルスルと触手(足)を伸ばしてくるはず。疑似餌をつかんで体の中央(口)に引き込もうとする。駆け引き!

③偽ガニを小刻みに震わせて、外へおびき出す!

④くぼみから出てきたところをクマデで引っ掛け

⑤一気に真上へ
カエシがないので針先を上にすればバラさないですむ。

⑥巾着式の網かごに入れるまでがひと苦労だが、その後はおとなしくなる。巻きついてくるタコの吸盤は強烈。無理に引きはがさない。

⑦調理(ゆでだこ)
・塩もみしてヌメリをとる。
・タコの頭をつかんで熱湯に足先からゆっくり入れるとクルンと丸まる。

【編集後記】
そうそう簡単に見つかるものではありません。たこは色も形も岩そっくりになります。まるで忍者。ところが達人に言わせるとタコと目が合うそうです!?
たこすかし体験プログラムは子どもも参加できますが、集中力も根気も落ち着きもない子どもはまず獲れません。むしろ一緒に申し込んだ親の方が真剣になり、特に父親が最後までがんばります。 子どもだましの釣り方のようですが、やってみると大の大人を夢中にさせる海の遊び仕事です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました