能登、世界農業遺産認定の立役者の一人あん・まくどなるどさんが「ため池が寛大な祭りを生んだ」という興味深いお話をしてくれました。ため池とお祭りがどう結びつくというのでしょうか。
『能登は半島ゆえに川が短く、米を作るにはため池による農業用水の確保が必要不可欠でした。中世に荘園開発されてから明治まで千三百年にわたり、ため池灌漑が能登の人口を支えました。』
『山水や川を導きため池をつくり、水路を通して集落が生まれました。能登は山から海まであっという間の短い川ばかりなので一本の川にひと集落の「ため池中心コミュニティ」が普通でした。
川の源流から河口までが集落内に収まるため、最も重要な水利問題は集落内で解決されました。集落ごとに完結した水系を持っていれば隣村と水でもめることもありません。長らく能登は平和でした。』
ヨバレというおもてなし
『半島が緩やかな地形だったおかげで目の前の海から山の奥まで分け入って、目いっぱい恵みを得ながら半農半漁で暮らせました。半島が引き寄せた船や客人を迎え、遠来の文化を歓迎し、海の彼方から来た神を敬いました。
こうして能登は「やわらかな」自然が「寛大な」人々を生みだした「やさしい」気風の土地となりました。』
『その象徴が「ヨバレ祭り」。お祭りの日に各家庭が親類縁者・友人知己にとどまらず老若男女・ヨソ者・旅人・通りがかりの人までごちそうして歓待する風習が今でも残っています。』
というお話でした。
能登の人は幸せです。見世物の祭りではなく、自分たちだけの本当のお祭りがあります。
たとえ小さくても楽しさを競うような多彩な祭り。おもてなしの心で各々が自宅でパーティーできる住・食・人の豊かさ。
こんなところは日本でもそうはありませんよ。
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