【里山里海の道具】野鍛治コレクション

なりわいガイド

NOTO FIELD NOTE illustrated by a.yamazaki 無断転載を禁じます。

人は鉄器で自然を里山里海に変えました。港町の鍛冶屋【ふくべ鍛冶】が作る道具を見れば能登人の生業(なりわい)がわかります。
(以下、スケッチの書き起こしです)

<里と山の道具>
クワ
地域ごとに形状が決まっている。
内浦~波並・柳田 矢波~穴水・町野 うねづくり適した特殊形
豆ガマ
あぜ豆まきに使う。
ヤマノイモ掘り
グリップ部分はしっかり握れる。
湾曲した先端部分で自然薯の裏まで土をかき出せるので、掘らずに折り取ることができる。
トンビ
丸太を引き寄せる道具 イタリアンブーツのような優美さ。
回す時の支点、丸太を引っかける先端

<里海の道具>
サザエ抜き
2ヶ所ある貝柱を切ってサザエの実を落とす道具
カキ貝開け
身を傷つけずに楽にカキを開ける道具 一斗缶も怖くない。
軸は頑丈かつ端は薄い。しかし切れるほどには鋭くない。
能登マキリ
漁師の万能包丁 網・ロープ切りから刺身までこれ一本。
ぶり包丁
イカさき包丁


船上から海底を狙う道具たち
ナマコ取り
竹棒に差し込んだ訪を支点にして可動部ではさみ取る。
サザエ取り

上から押し込んでサザエを捕獲。
アワビ取り

網をつける。かき取って捕獲。

もぐりの道具
用の美 ズッシリ 紛失防止の通し穴。
片方はサザエ・ウニ用で岩のすきまからかき出す。
もう片方はアワビ用で岩からはぎとる。

包丁
ぶり包丁 刃渡り24㎝ 魚屋は皆持っている
イカさき包丁 小振りで指の一部になる感覚

【編集後記】
かつて鍛冶屋は村を巡り、使い手と話し、その人が海と山と里で生きていくための道具を作る野鍛冶でした。道具は大切に扱われ、修理されながら、やがて古くなる頃には使い手の生き様が宿る逸品となりました。

そんな野鍛治も今は廃れ…となりそうですが実はとても忙しいのです。聞けば他の職人が次々と廃業してしまうので困ったお客が人づてに頼みに来るのだとか。ちょっと複雑な実情ですが、最後まで残る者には福があるんですね。

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